現代医学ではエビデンスが重視されます。
当たり前のことですが、治るというエビデンス、安全であるというエビデンスがないとその治療法は選択されません。
では東洋医学のツボにはエビデンスはあるのでしょうか？
答えは、エビデンスがあるものもあれば、ないものもあるということになるでしょう。
いくつかのツボ（経穴）は統計的に有意な効果が認められています。
でも、そうでないものがほとんどだと思います。
古典的な東洋医学の治療法は現代医学や科学に慣れ親しんだ私たち現代人には理解しがたく、エビデンスがないものもたくさんあります。
これは日本の鍼灸学校で習う東洋医学は科学サイエンスではなく、哲学的であることが原因であると思います。
だから怪しい治療と思われがちで、東洋医学が普及していない理由の一つでしょう。
私はこう思っています。
科学の進歩によって明らかになったことは、古典的な方法と置き換わっていくべきだと思います。たとえば血液の働きは現代生理学的にたくさんのことが明らかになっていますから、こういうものは古典的な考えよりも現代的な考え方を重視した方がいいと思います。
また鍼灸治療には鍼麻酔といわれるような、鎮痛効果があります。これは下行性疼痛抑制、末梢性鎮痛といった現代生理学によって効果が説明できます。こういったエビデンスのあるものは積極的に使っていった方がいいと思っています。
しかし、まだ明らかになっていないことなら、有効な古典的な方法に頼ればいいのではないでしょうか。
例えば、東洋医学で重視する「気」という概念、これは見えませんから現代生理学的には
解明されていません。でも、元気がある、元気がない、やる気、本気、気力、と日本人は「気」をとても重視します。なんとなく「気」の存在は感じませんか。
つかれたな、気力が低下してきたな、そんなときに「気海」や「関元」といった、下腹部にある気を充満させるツボ（経穴）を使って治療すると気が満ちてきて元気になる。
エビデンスはありませんが、生理学的に考えると免疫にかかわる腸がある場所で、自分の体験として有効だと考えています。もしかすると骨盤内の副交感神経にも関連するのかもしれません。
だから、今はエビデンスはないけど遠い昔の人が何度も治療を繰り返し、有効だと感じて、残してくれた古典的な治療法でも生理学的に有効と思えば私はつかっていきます。
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